金髪くんの一途な愛


男の子は(おもむ)ろに立ち上がると、

空いた席に私を強引に座らせた。


「え?」

「乗り物に酔うタイプでしょ?
俺からのお礼と思って座って」


……どちらかというと人に酔ったほうで、乗り物に酔うタイプではないのだが…。

だから『大丈夫ですよ』と言ったんだけど、男の子は『いーのいーの』と返してきた。


「あ、そうだ。
タオル、明日返します。
明日もこの時間の電車ですか?」

「朝はズラすかも。
もう一本あとのでも間に合いそうだし」

「そうですか…」

「キミも一本あとのにしたら?
たぶん、今朝のより多少は人が少ないはずだし、
春白は隣なんだから、俺が間に合うならそっちも間に合うでしょ?」

「そうですね…」


今日もホームでダウンしてたわりに、ちょっと余裕があるくらいに間に合ったし、

初日だからと余裕もって早い時間のに乗ったけど、彼の言う通り一本あとでも間に合いそうとは思った。


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