美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
翔は本当に沙羅の事が可愛いと思った。愛おしいという表現がピッタリ合っている。でも、そんな風に考えている表情だけは絶対に見せたくない。今は、特に優也が楽しそうに二人の事を観察している。
「なら、よかった…
でも、僕の顔も覚えておいてね。チームとしてこの案件に携わる事もあるかもしれないから」
沙羅は少しだけ背筋が伸びた。何か怖い事が起きるかもしれないと、優也の言葉を聞いて感じたらしい。
「…はい」
翔は隣に停めているミニのロックを解除して、沙羅に先に乗るよう合図する。そして、沙羅が乗った事を確認すると、沙羅に見えないように優也を睨んだ。
「まだ、龍也の事を詳しく沙羅に伝えてないんだ。
せっかくの楽しい旅行を不安な思いで過ごさせたくないから」
「翔にしては珍しいな。普通は真っ先に話して警戒させるのに」
翔は意味あり気に微笑んだ。その顔は捕食者のように鋭く隙がない。