美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
「沙羅のお父さんが、沙羅に絶対に龍也に会うなって言えないのがそこなんだ」
「龍也君はそんな人間じゃない。
最近の龍也君の事も私はよく知ってる。お父さんとは別の人間だよ」
翔は困ったように微笑んだ。
「沙羅のお父さんは沙羅のそんな性格を心配してるんだ。
でも、俺達が龍也の事を調べ上げた感じじゃ、龍也の勤めている会社がちょっと怪しい。実在のないダミー会社かもしれない」
沙羅は目を大きくして翔を見る。沙羅はそんな事を考えたこともなかった。龍也は普通の会社で真面目に働いていると、今でもそう信じている。
「最近は、顔や正体を現さないでもできる仕事ってあるから。
でも、ほとんどがヤバい仕事だけど」
翔は目の前にあるおせんべいをボリボリ食べ始める。
沙羅はこんなに切羽詰まった話の途中に、せんべいを美味しそうに食べる翔を驚きながら見ていた。でも、そのボリボリいう音に、沙羅は何だか笑顔になる。