美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
沙羅はおせんべいをまだ手に持ったまま、大きく頷いた。翔の目を真っすぐに見つめて。
「ほら、食べなよ」
翔は沙羅のおせんべいを気にしている。
「あ、はい」
でも、沙羅はそうは言われたけれど、何だか気まずくておせんべいを食べる事ができなかった。そんな急に食べてと言われても、タイミングが分からない。
翔はそんな沙羅をジッと見ている。沙羅は翔と目が合い、とりあえずニコッと微笑んだ。でも、せんべいは手に取ったまま、動かす事さえできない。
すると、翔は笑いながらおせんべいに手を伸ばし、またポリポリと食べ始める。沙羅はそんな翔を見て、やっとポリポリと食べる事ができた。
翔は笑いが止まらなくなったのか、せんべいを口に含んだまま大笑いをしている。そんな翔を見ながら、それでも沙羅はポリポリと食べ続ける。
沙羅は子どもみたいに笑う翔をみて、心の底からホッとしていた。沙羅の面倒くさい性格を知って、本気で嫌われたかと思っていたから。
翔の優しい笑顔にただただ救われている。