美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


「どういう所か分かる?」

 沙羅は自分なりにその店の情報を調べていたけれど、よく分からないみたいだった。翔は地図を見ながら難しい顔をする。

「店の雰囲気は分からないけど、場所的にはかなり治安が悪い。ここを指定する意味が分からないよ。龍也が普通の人間ならね」

 翔は沙羅にそんな嫌味を言ってしまう。お人好しの沙羅がこの危険性を感じてくれればと願いながら。

「そんな怖い場所なの?
 でも、レストランはお洒落ないい雰囲気だけど」

 翔が黙っていると、沙羅は肩をすくめてソファに座った。そして、スマホでまだお店の情報を調べている。

「うん、お店は大丈夫そう。結構広そうだし」

 沙羅の表情を見ると、龍也との約束を変更する気は全くなさそうだ。もう、会うと決めたのだろう。

「お店には車を横付けしてドアからドアで入る事。あと、龍也との時間は一時間で終わらせる事。
 それはしっかり守ってほしい。とにかく隙を見せないよう努力して」

「はい…」


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