美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 七海はすでに情報を集めていた。父親の方を追っている刑事とも仲が良く、お互いの情報交換も欠かせない。今回の沙羅の件に関して、場合によっては警察も動く事になっている。

「今のところ、目立った動きはない。逆に静か過ぎて、案外、見当違いで終わりそうな嫌な予感もする」

「見当違いで終わるのなら、こっちからすれば大歓迎だよ」

 七海はそんな翔を見て鼻で笑った。

「翔からそんな言葉が出るなんて、超意外なんですけど」

 翔は笑わない。七海の嫌味に反応する気もなかった。翔は七海に沙羅と龍也の待ち合わせ場所が決まった事を伝えた。その場所を聞いた七海は少しだけ顔をしかめる。

「龍也が沙羅を何かのターゲットにしてなければそれでいいんだけど、まだ不安は捨てきれない」

「うん、かなりヤバイね」

 翔はそんな七海の表情を見て背筋がゾッとした。基本、楽観的な七海がこういうワードを使う時は本当にヤバイ時だから。


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