美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
そして、朝を迎えた。翔は四時間程しか眠っていない。でも、これは通常通りだ。それくらいの睡眠時間の方が翔の神経は冴え渡る。特に、今日のような重要な任務の日には。
翔は時計を見てみる。待ち合わせの時間まではまだ時間があった。
「沙羅、ちょっと散歩に行かない?」
「散歩?」
翔は楽しそうに頷く。沙羅は朝からずっと緊張していた。本人はその気がなくても見ている方はすぐに分かる。翔はそんな沙羅をリラックスさせたいと思っていた。
「海沿いを少し歩かない?
天気がいいし、この辺りはウォーターフロント開発で海を見渡せる遊歩道が結構あるみたいなんだ。
俺もあまりよく知らないけど」
そう翔もあまり知らない。というか、沙羅がいなければ、この場所の事も調べることなんてなかった。
「行きたい!」
沙羅は本当に素直でいい子だ。心の赴くままに生きている。心配事があれば気持ちと同様顔が険しくなるし、楽しい事があれば嬉しくてすぐにパッと明るくなる。翔はそんな沙羅の屈託のない笑顔が大好きだった。きっと、沙羅のこういうところに惹かれている。