美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
店員が去った後、七海はスマホを翔に向けた。
龍也が、今、個室に入ったところだった。沙羅は立ち上がって龍也を迎えている。
「沙羅ちゃん、泣いてるんじゃない?
そんな感動的な対面なの?」
七海は翔をからかうようにそう言った。翔だって、沙羅の涙をこんな場面で観たくはない。っていうか、泣くか?普通。
翔は七海の質問は無視して、龍也と沙羅の会話に耳を澄ませる。
「沙羅ちゃん、久しぶり!
写真や動画では観たりしたけど、こうやって会ってみたら、もう沙羅ちゃんの美しさに言葉も出ないよ…」
龍也の最高の褒め言葉を聞きながら、七海は楽しそうに翔を見る。
「そんな事ないよ…
龍也君も大人になってて、私も驚いてる。
でも、笑った顔はあの頃のまま変わらない。だから、ホッとしてる…」
そして、二人は握手をした。翔はそんな二人の映るスマホを握り潰したくなる。マジで、自分をコントロールできるか不安になってきた。