美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 翔はそう言うと、注文したピザを食べ始める。耳で二人の会話を聞くだけで十分だ。下手したら、手に取ったピザさえも握り潰したくなる。必死に隠しているけれど、もうイライラがマックスに達していた。

「え~、俺は二人の監視より、翔の方を見ていたいのに~~
 翔、やばいくらいに面白過ぎる。
 ってか、俺に笑われたくなかったら、冷静になるしかないからね。
 自分の感情はとりあえず脇に置いておけ!って、優也からの伝言があったのを忘れてた」

 翔はピザを頬張りながら、七海を睨む。でも、そんなやり取りで少しは自分を取り戻せた。
 しばらく二人の思い出話を聞いたところで、翔はマイクで沙羅に指示をする。

「沙羅、一時間で帰る事をそろそろ龍也に伝えて」

 沙羅は翔からの言葉に頷きそうになる。

「ヤバイ、翔、沙羅ちゃんにあまり演技をさせない方がいいよ。
 龍也にばれそうで怖い」


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