美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
「翔、こいつの顔、ヤバイよ。目つきが完全にいっちゃてる」
翔は沙羅への想いを完全に脇へと置いた。龍也の動きを見ながら、仕事モードのスイッチをさらに入れる。
「沙羅ちゃんは知らない。俺のみじめな人生を…」
翔は嫌な予感がした。龍也は沙羅の性格をちゃんと把握している。情が深くて共感能力の高いお人好しなところをしっかりと見抜いている。
「俺の母さんは俺が七歳の時に死んだんだ…」
「え、七歳って…」
ほら、そうやって沙羅は相手の気持ちに寄り添ってしまう。翔はイヤホンを手で押さえため息をついた。
「いつ亡くなったと思う?
それは…
沙羅のおばあちゃん家の近くに住んでる時に死んだんだ…」
沙羅は顔が真っ白になる。
そんな沙羅を龍也は蛇のような目で見ていた。魂が違う何かに変わったみたいに沙羅の事を睨んでいる。
「うちの母さんは…
沙羅ちゃん、君に殺されたんだ…」