美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
 

 翔と七海は顔を見合わせた。七海はタブレットを使って金子達也の情報をピックアップすると、母親の検索をし始める。
 翔は衝撃を受けている沙羅を見守るしかなかった。今、沙羅を迎えに行く事もできるけれど、それは、きっと、沙羅のプライドが許さない。

「私は… 龍也君のお母さんのこと、何も知らない…」

「知らなくても…
 傲慢な人間って、簡単に人を殺せるんだよ」

 龍也は目を閉じ、軽くため息をついた。
 そして、ベラベラと話し出す。沙羅の反応なんて全く気にせず、一方的に責め立てるようにひたすら話し続けた。

「あの頃、俺は沙羅ちゃんの事が大好きだった。
 子どもながらに沙羅ちゃんの純粋さや透明感に惹かれてた。
 沙羅ちゃんとお喋りしたり、川辺で遊んだり、本当に本当に楽しかった。
 だから、毎日、沙羅ちゃんのおばあちゃんの家に沙羅ちゃんを迎えに行った」

 ここまでの話は沙羅も共有している。翔が沙羅から聞いた話と一致しているから嘘じゃない。


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