美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
「沙羅、龍也の話してる事は噓の情報だから、信用しない事、いい?」
翔は龍也の話は真実だと分かっている。でも、今、その情報を沙羅に知らせるわけにはいかない。
「それと、少し時間が早いけど、沙羅を迎えに行くから」
顔色一つ変えずに沙羅は首を横に振った。それは、頬に付いた髪を取るための仕草にしか見えないけれど、沙羅から翔への意思表示だ。まだ、迎えに来ないでいいと訴えている。
翔の代わりに七海がため息をついた。
「沙羅ちゃんは龍也の話を最後まで聞きたいんだろ…
普通は怖くて逃げだしたくなるのに」
翔は何も言わずに画面に映る沙羅と龍也をジッと見つめる。
「とにかく俺のタイミングで迎えに行くから」
翔にとって沙羅の安全こそが一番大事な事だ。何かがあってからでは遅すぎる。
すると、龍也が天井を見上げて泣くのを堪えている。これは演技なのか本物の涙なのか、翔たちにも判断できなかった。