美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 そんな風に子どもみたいな宣言をして、翔は車を森の中でUターンさせる。ガタゴトとうるさい舗装されていない道がやっと終わり、あとは高速道路に乗ってホテルへ向かうだけだ。
 明日、沙羅はアメリカへ帰る事になっている。でも、帰る気はなかった。仕事に関しては何も問題はない。今までが働き過ぎていたため、上司から長期の休みを取るよう促されていた。ママだって何も問題はない。逆に、二人の関係を話せば自分の事のように喜んでくれる。だって、もう、ママは翔の虜だから。パパだけが問題だった。翔の所属するA&Wの大切なクライアントのパパに対して、翔は必要以上に気を遣うだろう。
 沙羅はパパに翔の事を認めてもらうため、色々と対策を考えている。上手くいくかは分からないけれど、でも、翔の事を守るために沙羅は強い気持ちで挑まなければならない。何だか、今までに感じた事のない強い気持ちが湧き出ていた。

「翔、私、負けないからね!」


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