美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
沙羅はそう言い終わると、翔の髪をタオルで拭き始めた。翔は面倒くさそうにスマホを覗いてみる。仁から着信が入っていた。チームの中で一番真面目な仁からの電話に、翔は折り返し電話をかけてみる。
沙羅は気を遣ってその場から姿を消した。翔はソファに座ったまま、仁からの応答を待つ。
「もしもし、仁? 何かあった? 電話をよこすなんて珍しいから」
「翔、これから暇? 一緒に飯でも食わない?」
「は?」
仁の側で誰かが笑っている。翔はそのメンバーがすぐに分かった。
「何でお前らとご飯食べなきゃなんないの?」
翔はバカバカし過ぎて、すぐに電話を切ろうとした。
「ボスからの命令だって言ったら?」
翔は本当に面倒くさ過ぎて、大きくため息をつく。
「何のため?」
翔は機嫌が悪そうにそう聞いた。でも、そんな翔の態度に仁は全く動じない。
「明日の沙羅ちゃんのお父さんとのミッションをボスはすごく心配してる。
普段の翔なら何も問題ないと思うんだけど、今の翔は周りが見えなくなってるんじゃないかって。
ま、オリエンタルハイグループのオーナーを敵にしたくないってのが、ボスの正直なところだろ」