美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


「で、俺と食事会?
 意味分かんないんだけど」

 仁は静かに笑う。

「そんな事でもしなきゃ、お前は沙羅ちゃんの魅力に溺れて一晩を過ごす事になるのは目に見えてる。
 俺達の顔を見て、いつもの翔を取り戻してほしいってわけさ」

 翔はこういう時にチームの絆とかそういうものが嫌になる。でも、ボスの命令なら受けるほかなかった。

「そこのホテルにある中華料理の店を予約してるから」

「中華料理って、もしかしてユリアも来る?」

 仁はまた笑った。

「ユリアと七海と俺の三人が行くから、楽しみに待ってて。
 あ、それと、沙羅ちゃんもちゃんとメンバーに入ってるから」

「そんな事分かってるし」

 翔はそう言ってすぐに電話を切った。これから二人きりの時間を過ごすはずだったのに、何だか納得できない。でも、仁の言う通り、翔が沙羅に溺れている事に間違いはなかった。恋に溺れて自分を見失っている人間に、明日の大切なミッションを任せるなんて、ボスだって心配でたまらないはず。
 翔は電話を切ると、がっくりと肩を落とした。


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