美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 今日のユリアは普段とは違い女の子らしいファッションに身を包んでいた。喋らなければ可愛い系の美人なのに、そこらへんの男より気が強く何でもズバズバと言ってしまう、違う意味のこじらせ女子だ。自信のなさのこじらせじゃなく、自信があり過ぎるためのこじらせキャラだった。本人は職業柄そうなってしまうなんて言うけれど、そんなわけはない。
 だから、そんなユリアに惚れている七海の気が知れなかった。一般的に見れば魅力的な女性で間違いないけれど。
 翔は緊張している沙羅に、たくさんの料理を取ってあげる。もちろん、自分も一緒に食べるためだ。

「翔にそんな優しさがあるなんて、初めて知った」

 ユリアの面倒くさいところはこういうところだ。すぐに思った事を口に出す。翔はわざとらしく肩をすくめて見せる。

「俺は優しさの押し売りをしないだけだよ。
 ユリアとかに優しさなんて必要ないでしょ?
 ゴリゴリ系のゴリラみたいな男が好みのユリアにさ」

 翔のコメントに皆が笑う。沙羅は笑っていいのか分からない顔をしているけれど。

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