美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
七海とユリアは顔を見合わせる。そんな二人を見て、仁が口を開いた。
「そんな翔が沙羅ちゃんに会って、こんなに変わったんだ。
俺はいい事だと思うよ。
翔が普通の人間だったって証明にもなったし」
仁の最後の一言で、皆、笑った。沙羅も皆に釣られて楽しそうに笑っている。翔は自分がディスられているにも関わらず、それでいいと思った。
沙羅の笑顔が見られれば、別に何でもいい。
その後の沙羅は、七海とユリアと楽しそうに話し始めた。きっと、翔の事をネタに盛り上がっているのだろう。
翔が暇そうにドリンクを飲んでいると、仁が声をかけてきた。
「翔、ちょっといいか?」
翔は仁に呼ばれて、部屋の隅に置いてある二人掛けのソファに腰かけた。翔はもうほとんど気付いている。仁が翔に何かを言うためにここへ来た事を。
「どうせ唐澤明良からの伝言だろ?」
翔はあえてボスとは言わずフルネームでそう聞いた。仁は困ったように微笑んだ。仁の仕草はこういう時でも品がある。内面からにじみ出る人間力がそうさせている。