美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
「俺とやり取りする専用のスマホだから。俺の任務が完了したらその時に返してもらう。とにかく、電源は必ず入れておいて」
このスマホが相当な優れものだとは、そんな事は説明しない。沙羅は何も考えずに持っていてくれればいい。
「分かった」
沙羅はそう頷いて、翔に手を振った。自分の部屋はすぐそこなのに。
翔は沙羅がベッドルームにちゃんと入った事を確認して、一息つく。そして、ふと、目に入ったダイニングテーブルの上が綺麗に片付いている事に少し驚いた。
今回のセレブなお姫様は意外な一面が多過ぎる。きっと、一般的な普通の女の子と持ち合わせている感覚は同じなのかもしれない。
でも、それこそが翔にとっては驚く要素だった。世界で指折りに入る究極のご令嬢が、こんなに素直で可愛らしいとか、今まではあり得なかった。完全なるギャップ効果に、翔は心が揺さぶられている。
そして、すぐに同僚の七海にメッセージを送った。