美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
“七海、今回のお嬢様の本当の姿が分かるような情報を集めてほしい”
七海から返信が届く。思いのほか早く。
“本当の姿? どういう事?”
“あまりにもいい子過ぎるんだ。SNS以外で何か情報があればすぐに連絡して”
“翔ちゃんにしては珍しいんじゃない?”
七海が面白がっているのが分かった。
“とにかく急ぎで頼む”
翔はそう打ち込むとすぐにメッセージを閉じた。七海のにやけた顔が浮かんできて、それだけで腹が立ってくる。でも、こういう裏ルートの情報は七海の技術があれば数分でゲットできる。
翔は冷蔵庫の中からミネラルウォーターを一本取り出し、ゲストルームへ向かった。
この部屋にある監視カメラの映像全てが翔のパソコンとスマホで見れるように、七海が接続してくれている。
翔はベッド脇のデスクにパソコンを設置した。そして、ベッドに横になる。沙羅への今までにない感情を一度リセットしようと思った。
一仕事人として、こういう感情に振り回されるのだけは避けたいと思いながら、それでも沙羅の屈託のない笑顔を思い出してしまっている。