美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 沙羅は二時間ほどぐっすりと眠ってしまった。
 日本へ着いてから想定外の事だらけで、体も心も全てがクタクタに疲れていた。その上時差ボケも重なって自分の部屋に入った後の記憶がほとんどない。
 きっと、倒れ込むようにベッドで寝てしまったに違いない。だって、ホテルに着いたままの格好でコンタクトもしたままだから。
 沙羅は窓から見える空の変化に慌てて飛び起きた。空の色が薄っすらとオレンジ色に染まっている。

「ヤバい、もう六時じゃん…」

 二時間どころか三時間近く寝ていた自分にげんなりする。
 沙羅は急いで翔にメッセージを送った。翔からもらったスマホに暗証番号を入れてみる。その暗唱番号だって、翔が考えたものだ。今日、二人が出会った日のデータを西暦で入力した。

“今、起きました”

 元々、沙羅はメッセージの文章を考えるのが苦手だ。だから、いつも簡潔で文字数も短い。
 しばらくすると、翔からメッセージが返ってきた。

“おはよう”


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