美魔男の完璧な仕事に心が溺れる
その一言だけ。沙羅は可笑しくて笑ってしまった。この先のスケジュールとかたくさんの文章となって返ってくると思っていた。でも、“おはよう”の一言以外、その後にも何もメッセージは届かない。
沙羅はその間に身支度を整えた。一緒に夕食を取るという翔の言葉は覚えている。
沙羅はどういうシチュエーションにも合わせられる少しだけちゃんとした服装を選んだ。きっと、このホテルの中のレストランになる可能性が高いと考えて。
沙羅がダイニングへ行ってみると、翔は窓際にある一人掛けのソファにもたれてパソコンをいじっている。沙羅に気付いて、少しだけ微笑んでくれた。
「何、食べようか?」
翔はそう言って、沙羅においでと手招きする。
「沙羅が選んで」
沙羅は翔のパソコンに映るレストランの画像を見て、少しだけ驚いた。翔がチョイスしたお店はここから少し離れたウォーターフロントに集中している。
「ここから選んでいいの?
あまり外出はしない方がいいのかと思ってた」