美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


「こっちがその気がなくても、あっちが好きになってしまうケースが多過ぎる。
 そうなったら、お前以外のメンバーは変に優しいから、突き放すのに時間がかかる。
 翔は仕事が終われば、氷のような人間になる。
 そこがお前のいい所で、でも、ユリアに言わせれば最悪な所らしい。
 でも、この仕事に関して言えば、お前の性格は向いてるってこと。
 特に、超VIPのクライアントだ。
 翔しかいないし、翔しかできない」

 翔は褒められているのか、けなされているのかよく分からなかった。ユリアに言わせればっていうのが余計だった気がする。ユリヤとはここのメンバーの唯一の女性だ。見た目はか弱そうに見えるけど、かなりのやり手で隙のない仕事人だった。

 翔は渋々この仕事を引き受けた。
 考えようによっては、たったの一週間程度で相当な額の報酬だし、条件として、その仕事以降はしばらくの休みを唐澤に突きつけた。
 大人の色気をプンプン匂わすクールでダンディ過ぎる唐澤が、子供のような笑顔で頷いた。
 男には全く興味のない翔だって、こんな唐澤のギャップに少しだけときめいてしまう。
 多分、これを武器に、散々な仕事をやってきたのだろう。
 翔は鼻で笑いながら、自分のいた場所へ戻った。

< 5 / 254 >

この作品をシェア

pagetop