【完結】ぶらっでぃ☆ふぃあんせ!!~幼馴染の男の子が実は双子のヴァンパイアで溺愛されてます~

入学祝いをしよう!

 入学式が終わって、下校時間。
 高校は家のすぐ近くなんだ。
 三人で歩く。
 
「人間界って久しぶりだ。やっぱ青空が気持ちいいよなー」

 カイリくんが伸びをした。
 下校中の生徒から見られてるのに、しっかり手を握られている。

「人間界って……二人はどこにいたの? 外国じゃないの?」

「魔界だよ。魔界の城に戻って色々修行してたんだ」

 カイトくんも、私の手しっかり握って……優しく微笑む。

「それって……みんな知ってること? ママ達とか大人は」

「俺達がヴァンパイアだって知ってるのは雛菊だけだよ。フィアンセだから特別」

 私だけが知ってる秘密!

「別に外国って思ってて大丈夫だから。魔界が今更に人間界に関わることもないしな。吸血鬼の王……俺らの両親がこっちが好きってだけで小さい頃に住んでたんだよ」

 魔界……そんな感じなんだ。
 カイくんのママは綺麗な人だったな。
 パパはあんまり記憶にないけど……つまりは魔界の王様ってことだもんね。
 怖いのかな……でも二人のお父さんだし、きっと優しいはず!
 
「そうなんだ……友好的でよかった。だって人間を襲ったりするのかなって心配になっちゃう」

「そんな事しないよ。安心して」

「今度魔界にも行こう。雛菊もきっと気に入るよ」

「魔界に? どんなとこなんだろう簡単に行けるの?」

「将来の王の妃になるんだから、慣れておかないとな」

 き、きさき!?
 まぁフィアンセなんだから……お嫁さんになるってことなんだろうけど……。
 
「も、もうーっ二人共なんでも決めるのが早い~」

「慌てる雛菊も可愛いよ」

「な~、もう何してても可愛い」

「もう~~」

 ちょっとふくれた私を、二人が笑って頭を撫でる。

「怒らないでよ、雛菊。お祝いしよっか」

「お祝い?」

「よく行ってたケーキ屋さんはまだあるか? 入学祝いをしようぜ」

 あ~入学祝いは私もしたい!

「うん! 娘さんが今は店長さんだよ。カイくんも好きだったもんね」

「俺達は最近は甘いもの、そんな食わないけど雛菊が好きなら買って帰ろう」

「そうなんだ」

「よし! 行くぞ!」

 何かお祝いがあればよく買って食べてたケーキ屋さん『ハピネス』
 昔からある街の人気店。

「あら~雛菊ちゃん……って……どうしたの!? すごいイケメン二人……あれ」

「お姉さん、久しぶり。店長になったんだね」

 カイリくんが目を……。
 お姉さんにも催眠を……!?

「おーダブルカイ! 戻ってきたんだねーーー!!」

「あはは、懐かしいな~その言い方」

「本当だね。入学祝いのケーキを買いに来たんだ。店長のオススメは?」

 ダブルカイ!!
 すっかり二人だった事になってる~~!!
 すごいなぁ。

「入学祝いにピッタリの桜のクリームとホワイトチョコのムースはどう? あと雛菊ちゃんの大好きなチョコケーキ」

「じゃあ、桜のとチョコのホールでください」

「えっ!? わ、私……お小遣いあんまりないから……」

 ホールだと、五千円くらいしちゃうもん!

「あはは。俺らが買うに決まってるよ。はい、これでお願いします」

 カイトくんが、すぐにお支払いをしてくれた。

「あっありがとう。お母さんに伝えて、お礼を言わないと……次は必ず私……お返しを」

「雛菊は真面目だな。いいんだよフィアンセなんだから当然さ」

「でもー」

「そういうとこが好きだけどね。いいの俺達が食べたいんだからさ」

 私達のやり取りを聞いて、店長さんがニヤニヤしながらきれいに包んでくれた。

「もーイチャラブしちゃって! はい! 入学おめでとう!」

「わぁ、ありがとうございます!」

 カイくん達はそれぞれホールケーキを繋がない方の手で持ってくれた。

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