【完結】ぶらっでぃ☆ふぃあんせ!!~幼馴染の男の子が実は双子のヴァンパイアで溺愛されてます~
屋敷に着く
立派なケーキをホールで二個も買ってもらっちゃった。
「じゃあ、俺たちの屋敷へ行こう。ジャックから雛菊のお母さんには連絡させるよ」
「え、ありがとう。あのお屋敷にまた入れるなんて……懐かしい」
「お、来たな」
「え?」
街のはずれにある大きなお屋敷……もちろん歩いていくつもりだったけどケーキ屋さんを出たら豪華な車が……?
「カイト様、カイリ様」
「ジャック、ちょうどよかったよ」
執事のジャックさんが運転席から出てきた!
全然変わってない!
「ご無沙汰しております、雛菊お嬢様。お目にかかれて光栄です。いつの間にか、華やかで麗しいお嬢様になられましたね」
「えっえっ、あのお久しぶりです。そんなこと全然ないです!」
「全然あるよ。昔も可愛いけど、今も最高に可愛い」
「うん。最高に可愛いよ。じゃあジャックこれを」
「はい、お預かりいたします」
恥ずかしいことを言う二人を見ながら微笑むジャックさんが、ケーキの箱を受け取って助手席に置いた。
私は二人に導かれるように、車に乗り込む。
広くてすごい車内。
座り心地のよいシートでも私は真ん中。
ぎゅうって二人共手を離してくれないけど……疲れるとか痛いとかなくて、あったかくて安心する。
「疲れた? もたれてもいいよ」
「えっ?」
「さんきゅーカイト~~」
右にいたカイリくんが、私の肩にもたれてきて、その重さで私はカイトくんの肩にむぎゅ~~って寄りかかる体勢に。
み、密着~~。
「ふふ、家に着くまでもう少しです。ゆっくりくつろいでください」
ジャックさんが笑ってる。
でも、カイリくんも体重全部かけるわけじゃないし、私もカイリくんにもたれてドキドキするけど心地よいかも。
ドキドキしたりリラックスしたり……三人でいるの、不思議な感じ。
いつもの見慣れた街の風景が全然違って見える。
ケーキ屋さんから15分くらいで、屋敷の前に着いた。
「わぁ~懐かしいな」
懐かしいと言っても、屋敷はずっと手入れされて変わらない姿を保ち続けている。
白い壁に、青い屋根の大きな洋館。
庭には噴水があって、色とりどりの花が花壇で揺れて、とってもきれい。
まるで童話に出てくるような屋敷は街では『翡翠邸』と呼ばれてるんだよね。
だから今日の自己紹介で『翡翠ってあの家の人?』って思った子もいたっぽい。
「俺達も久々で懐かしいよ」
「うん」
此処がそのままな事もあって、私は初恋の男の子を忘れられないでいた。
ハロウインのプロポーズをいつも思い出しちゃって、ずっと好きなままだった。
まさかこの恋が、こんな風に叶うだなんて!!
「さぁ、どうぞ」
「「行こう」」
「うん……あとでお庭で遊びたいな」
「「もちろん!!」」
あ、つい幼稚園児みたいなことを言っちゃったけど、二人はにっこり頷いてくれた。