魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。
12
足元にいる子犬を見て悩んでいる。
どうしよう、子犬を港街から連れてきてしまった。この子はポメラニアン、トイプードル、チワワ……ポメラニアンに似ているかな? 黒もこで可愛い子犬。
この子は首輪をしていないみたいだけど、毛並みがいいから、飼い主とはぐれて寂しがっているかも。
「いきなり連れてきて、ごめんね、子犬ちゃん」
「キュ、キュン」
だけど、子犬は寂しがっていないのか元気よく鳴き。クンクン鼻を鳴らして小さな足で玄関をあがり、廊下をトテトテ歩き。キッチン、お風呂とトイレを通り抜け、おくの私の部屋を探索しはじめた。
「あ、待って、子犬ちゃん」
靴を脱いで子犬の後を追うと。
子犬は楽しげに部屋を歩きまわり、ベッドをみつけると、それに飛び乗りゴロンと寝そべる。
うっ、かわいい。
「その、ベッドが気に入ったの?」
「キュン」
気に入ったと鳴く子犬。
やはり、この子は人馴れしている……港街に飼い主がいるのかも。今日はもう遅いから、明日のお昼過ぎに時間をもらって、港街に飼い主を探しにいかなくては。
そう決めて、ベットでくつろぐ子犬に声をかけた。
「洗濯物をいれてくるね」
「キュン」
洗濯カゴを持ち、店の裏側に干した洗濯物をとりこみに向かった。ここ、ガリタ食堂は港街から離れているからか、商店街で聞こえた"キーン'という音はきえた。
もちろん、先輩にもらった石も透明に戻っているーーガリタ食堂の近くにはいないみたい。
『「ルー、カロール殿下が近くにきたら、この魔晶石がピンク色に反応する」』
いくら探しているからといって、執務ある多忙なカロール殿下が王城からは出られないはず。さっき、王都からかなり離れた港に殿下がいたのは。視察がえり? 新婚旅行の下見? ……かもしれない。
またまた、近くを通ったのかも。
でも、私に帰るようにいってきた頭の中に聞こえた声は、なんだったのかな?
先輩とは違う声だった……
店裏で洗濯物を取り込んでいると、どこからか羽の音が聞こえて空を見上げた。
「ホーホー」
「あ、福ちゃん、こんばんは」
「ホホー」
夕焼けに染まる空に福ちゃんが飛んでいた。この時間帯に福ちゃんと会うのは初めてで、彼は空からまい降り私の肩にふわりと止まる。
肩にだけど、じかに触れることははじめてで。
「ふ、福ちゃん? え? 福ちゃんは見た目よりも軽いんだね」
「ホッホー、ホッホー」
「えぇ、私は丸くなった?」
「ホーホホー」
「ううっ、福ちゃんは見抜いているのね。初めてあった頃から……5キロも太ったことを」
「ホーホー」
「ほ、頬がふっくらした? もう、それ気にしてるのに……福ちゃんの意地悪!」
「ホホー」
「え、まえは痩せ過ぎだった? これくらいがいい? フフッ、ありがとう福ちゃん」
彼は洗濯物を全部とりこむのを見届けると、私の肩から羽を広げて空高く飛び上がる。
「ホー」
「もう、帰るの? 気をつけてね、また明日」
福ちゃんも"また明日"だと言っているのか、頭の上をくるりと一周飛んで、何処かに飛び去っていった。
どうしよう、子犬を港街から連れてきてしまった。この子はポメラニアン、トイプードル、チワワ……ポメラニアンに似ているかな? 黒もこで可愛い子犬。
この子は首輪をしていないみたいだけど、毛並みがいいから、飼い主とはぐれて寂しがっているかも。
「いきなり連れてきて、ごめんね、子犬ちゃん」
「キュ、キュン」
だけど、子犬は寂しがっていないのか元気よく鳴き。クンクン鼻を鳴らして小さな足で玄関をあがり、廊下をトテトテ歩き。キッチン、お風呂とトイレを通り抜け、おくの私の部屋を探索しはじめた。
「あ、待って、子犬ちゃん」
靴を脱いで子犬の後を追うと。
子犬は楽しげに部屋を歩きまわり、ベッドをみつけると、それに飛び乗りゴロンと寝そべる。
うっ、かわいい。
「その、ベッドが気に入ったの?」
「キュン」
気に入ったと鳴く子犬。
やはり、この子は人馴れしている……港街に飼い主がいるのかも。今日はもう遅いから、明日のお昼過ぎに時間をもらって、港街に飼い主を探しにいかなくては。
そう決めて、ベットでくつろぐ子犬に声をかけた。
「洗濯物をいれてくるね」
「キュン」
洗濯カゴを持ち、店の裏側に干した洗濯物をとりこみに向かった。ここ、ガリタ食堂は港街から離れているからか、商店街で聞こえた"キーン'という音はきえた。
もちろん、先輩にもらった石も透明に戻っているーーガリタ食堂の近くにはいないみたい。
『「ルー、カロール殿下が近くにきたら、この魔晶石がピンク色に反応する」』
いくら探しているからといって、執務ある多忙なカロール殿下が王城からは出られないはず。さっき、王都からかなり離れた港に殿下がいたのは。視察がえり? 新婚旅行の下見? ……かもしれない。
またまた、近くを通ったのかも。
でも、私に帰るようにいってきた頭の中に聞こえた声は、なんだったのかな?
先輩とは違う声だった……
店裏で洗濯物を取り込んでいると、どこからか羽の音が聞こえて空を見上げた。
「ホーホー」
「あ、福ちゃん、こんばんは」
「ホホー」
夕焼けに染まる空に福ちゃんが飛んでいた。この時間帯に福ちゃんと会うのは初めてで、彼は空からまい降り私の肩にふわりと止まる。
肩にだけど、じかに触れることははじめてで。
「ふ、福ちゃん? え? 福ちゃんは見た目よりも軽いんだね」
「ホッホー、ホッホー」
「えぇ、私は丸くなった?」
「ホーホホー」
「ううっ、福ちゃんは見抜いているのね。初めてあった頃から……5キロも太ったことを」
「ホーホー」
「ほ、頬がふっくらした? もう、それ気にしてるのに……福ちゃんの意地悪!」
「ホホー」
「え、まえは痩せ過ぎだった? これくらいがいい? フフッ、ありがとう福ちゃん」
彼は洗濯物を全部とりこむのを見届けると、私の肩から羽を広げて空高く飛び上がる。
「ホー」
「もう、帰るの? 気をつけてね、また明日」
福ちゃんも"また明日"だと言っているのか、頭の上をくるりと一周飛んで、何処かに飛び去っていった。