魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。
20
外は夕暮れ時を迎えている。
私はその光景に驚いていた。カランと空っぽの丼がテーブル上に転がり、丼から満足げに顔を上げた子犬ちゃんはコロンと寝転がり。
「キューーッ」
「ええ、ごちそうさま? もう、あの大盛りの量を食べたの? よく、その小さなお腹に? 食べすぎだよ、子犬ちゃん!」
「キュン!」
「美味しかったって……お前も、ルーと同じで食いしん坊だな」
「ちょっと、先輩、子犬ちゃんと比べないで!」
食べ過ぎの子犬ちゃんはタオルの上で、横になり寝息をたてている。日が暮れ、部屋の中をキャンドルランタンの淡い光がみたす。
「キャンドルランタンか、それもいいが。ルーにこれを持ってきたんだ。よかったら使って」
シエル先輩がポンと手を叩くと、その手の中には魔法屋で見たあの魔法のランタンと、ライトの魔法が一回使える杖と、ほかの魔法が使える枝の束ーー石鹸、化粧水、ハンドクリームなどがあった。
「先輩、これどうしたの?」
「ん? 魔法屋でじっくり見ていたんだろ? 弟から聞いた、俺からルーへのプレゼントだ」
ーープレゼント?
「貰って、いいの? ありがとう、シエル先輩」
「ああ、枝使ってみるか?」
私は頷き貰った枝を握りめて、それを振り上げて唱えた。
「ライト!」
枝に仕込まれた魔法陣が浮かび上がり、丸い光の玉が複数目の前に浮かぶ。これは魔力を持つ者だけが唱えられる魔法だ。
ーー私が憧れている魔法。
その【ライト】の光りはすぐ消えると、思っていたのだけど。ライトの明かりは消えず、プカプカ浮かび、部屋の中を照らし輝いてた。
「きれい、とても綺麗だわ。シエル先輩、素敵なプレゼントをありがとう」
「ハハッ、喜んでくれて良かったよ……」
+
紅茶を飲みらお菓子をつまみながら、話をしていくうちに半年前の話になった。
先輩は私の舞踏会での、話を聞いていくうちに目がすわり。
「カロールとリリーナ、親衛隊の奴ら、ルーの両親はあいかわらず酷いな……ヤルか」
どこらか出したのか杖を握り、物騒なことを言う。
「仕方ないよ、なるようになっただけだもの。それより先輩に貰った何でも入るカバンと、羽が生えるワンピースは凄かった」
「あぁ、無限収納カバンと、守護魔法とか色々魔法をかけたワンピースか……あれ、役に立ったのか?」
私はコクリと頷き。
「すっごく、役に立ったわ。屋敷を出るとき、カバンにたくさん物が詰めれたの。お父様が部屋にきて慌ててバルコニーから飛び降りた、そのとき、背中に羽が生えて庭に下ろしてくれたわ。ほんとーーあのときはお父様のほかに、王の側近の魔法使いが屋敷に来ていたから焦った」
「はあ? ルーはバルコニーから飛び降りたぁ? そんな、無茶をしたのか」
「だって、逃げるのに必死だったから……」
ふと、その話をしていて新聞の内容を思い出した。
「ねえ、シエル先輩、新聞に書いてあったことって、ほんと?」
「ん? カロールがルーを探しているというやつか……ほんとうだ、アイツは何を考えているのか分からん」
きっと私を牢屋に入れるために探しているんだ……婚約破棄されて、私は家からも追い出されたのだから。殿下の温情で、そっとしておいてくれてもいいのに。
「ルー、髪飾り使ってくれてる? あとブレスレットも」
「ええ、出かけるときに使っているわ。そうだ、港街と魔法屋で『会いたくない奴が近づいている』って、何処からか声が聞こえたのだけど……」
「そうか……それら二つには俺の魔法がかかっている。頼む、変に思わずその声に従ってくれ。したがえばカロールから必ず逃げれるから」
私は「はい」と頷く。学園の時に助けてくれた、シエル先輩が言うのだもの。
私はその光景に驚いていた。カランと空っぽの丼がテーブル上に転がり、丼から満足げに顔を上げた子犬ちゃんはコロンと寝転がり。
「キューーッ」
「ええ、ごちそうさま? もう、あの大盛りの量を食べたの? よく、その小さなお腹に? 食べすぎだよ、子犬ちゃん!」
「キュン!」
「美味しかったって……お前も、ルーと同じで食いしん坊だな」
「ちょっと、先輩、子犬ちゃんと比べないで!」
食べ過ぎの子犬ちゃんはタオルの上で、横になり寝息をたてている。日が暮れ、部屋の中をキャンドルランタンの淡い光がみたす。
「キャンドルランタンか、それもいいが。ルーにこれを持ってきたんだ。よかったら使って」
シエル先輩がポンと手を叩くと、その手の中には魔法屋で見たあの魔法のランタンと、ライトの魔法が一回使える杖と、ほかの魔法が使える枝の束ーー石鹸、化粧水、ハンドクリームなどがあった。
「先輩、これどうしたの?」
「ん? 魔法屋でじっくり見ていたんだろ? 弟から聞いた、俺からルーへのプレゼントだ」
ーープレゼント?
「貰って、いいの? ありがとう、シエル先輩」
「ああ、枝使ってみるか?」
私は頷き貰った枝を握りめて、それを振り上げて唱えた。
「ライト!」
枝に仕込まれた魔法陣が浮かび上がり、丸い光の玉が複数目の前に浮かぶ。これは魔力を持つ者だけが唱えられる魔法だ。
ーー私が憧れている魔法。
その【ライト】の光りはすぐ消えると、思っていたのだけど。ライトの明かりは消えず、プカプカ浮かび、部屋の中を照らし輝いてた。
「きれい、とても綺麗だわ。シエル先輩、素敵なプレゼントをありがとう」
「ハハッ、喜んでくれて良かったよ……」
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紅茶を飲みらお菓子をつまみながら、話をしていくうちに半年前の話になった。
先輩は私の舞踏会での、話を聞いていくうちに目がすわり。
「カロールとリリーナ、親衛隊の奴ら、ルーの両親はあいかわらず酷いな……ヤルか」
どこらか出したのか杖を握り、物騒なことを言う。
「仕方ないよ、なるようになっただけだもの。それより先輩に貰った何でも入るカバンと、羽が生えるワンピースは凄かった」
「あぁ、無限収納カバンと、守護魔法とか色々魔法をかけたワンピースか……あれ、役に立ったのか?」
私はコクリと頷き。
「すっごく、役に立ったわ。屋敷を出るとき、カバンにたくさん物が詰めれたの。お父様が部屋にきて慌ててバルコニーから飛び降りた、そのとき、背中に羽が生えて庭に下ろしてくれたわ。ほんとーーあのときはお父様のほかに、王の側近の魔法使いが屋敷に来ていたから焦った」
「はあ? ルーはバルコニーから飛び降りたぁ? そんな、無茶をしたのか」
「だって、逃げるのに必死だったから……」
ふと、その話をしていて新聞の内容を思い出した。
「ねえ、シエル先輩、新聞に書いてあったことって、ほんと?」
「ん? カロールがルーを探しているというやつか……ほんとうだ、アイツは何を考えているのか分からん」
きっと私を牢屋に入れるために探しているんだ……婚約破棄されて、私は家からも追い出されたのだから。殿下の温情で、そっとしておいてくれてもいいのに。
「ルー、髪飾り使ってくれてる? あとブレスレットも」
「ええ、出かけるときに使っているわ。そうだ、港街と魔法屋で『会いたくない奴が近づいている』って、何処からか声が聞こえたのだけど……」
「そうか……それら二つには俺の魔法がかかっている。頼む、変に思わずその声に従ってくれ。したがえばカロールから必ず逃げれるから」
私は「はい」と頷く。学園の時に助けてくれた、シエル先輩が言うのだもの。