魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。
プロローグ③
断罪イベントもおわり、あとは退場するだけ。
ふと、努力してきた日々を思いだす。
私は……ゲームの中でも、この世界でもカロール殿下が好きだった。殿下がリリーナを好きになっていなかったら、彼の隣に立ち、この国とあなたを守りたいと思っていた。
今となって、それは叶わぬ夢。
彼を思う、私の気持ちも消えた。
これで最後か。カロール殿下にお会いすることもない。
最後だし、すべてを吐きだしてもいいわよね。
「カロール殿下、最後に一言よろしいでしょうか?」
「ひとこと? いいだろう、リリーナへの謝罪しかと述べよ!」
「……残念ながら謝罪ではありません。私、ルーチェ・ロジエはカロール殿下のことをお慕いしておりました。これからは愛するリリーナさんと、末永くお幸せになってくださいませ」
そう伝えて、二人に深く頭を下げた。
これで、思い残すことはもうない。
踵を返して会場をでて行こうとする、私の背に――"バキッ、バギッ"と何かにヒビが入る音が響いた。そしてーー壇上に立つカロール殿下がいきなり『グワァ!』と叫び、壇上に両膝を突き頭を抱えて苦しみはじめた。
「カロール様、どうしたの?」
「「カロール殿下?」」
あわてて壇上の親衛隊とリリーナは彼を支え、警備をしていた城の騎士たちも壇上に駆け寄る。
「誰か! はやく、ここに医者を呼べ!」
医師を呼ぶ声、殿下を呼ぶリリーナの声、慌ただしくなる舞踏会の会場。私の横を壇上へと走る騎士。
その様子を。息を飲み、静かに壇上をみつめる貴族たち。
(いったい、なにが起きているの?)
ふと、努力してきた日々を思いだす。
私は……ゲームの中でも、この世界でもカロール殿下が好きだった。殿下がリリーナを好きになっていなかったら、彼の隣に立ち、この国とあなたを守りたいと思っていた。
今となって、それは叶わぬ夢。
彼を思う、私の気持ちも消えた。
これで最後か。カロール殿下にお会いすることもない。
最後だし、すべてを吐きだしてもいいわよね。
「カロール殿下、最後に一言よろしいでしょうか?」
「ひとこと? いいだろう、リリーナへの謝罪しかと述べよ!」
「……残念ながら謝罪ではありません。私、ルーチェ・ロジエはカロール殿下のことをお慕いしておりました。これからは愛するリリーナさんと、末永くお幸せになってくださいませ」
そう伝えて、二人に深く頭を下げた。
これで、思い残すことはもうない。
踵を返して会場をでて行こうとする、私の背に――"バキッ、バギッ"と何かにヒビが入る音が響いた。そしてーー壇上に立つカロール殿下がいきなり『グワァ!』と叫び、壇上に両膝を突き頭を抱えて苦しみはじめた。
「カロール様、どうしたの?」
「「カロール殿下?」」
あわてて壇上の親衛隊とリリーナは彼を支え、警備をしていた城の騎士たちも壇上に駆け寄る。
「誰か! はやく、ここに医者を呼べ!」
医師を呼ぶ声、殿下を呼ぶリリーナの声、慌ただしくなる舞踏会の会場。私の横を壇上へと走る騎士。
その様子を。息を飲み、静かに壇上をみつめる貴族たち。
(いったい、なにが起きているの?)