魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。
44
あまりの出来事に頭が追い付かず、しばらく呆けた。
ガット君なんて「穴」「穴が!」と呟き、腰を抜かしている。……先輩にもらった杖、一度だけ火魔法のファイアが打てる杖。
その杖からでた炎は、私かも捕まっている牢屋だけではなく、部屋の壁まで穴を開けた。
「ね、ね、姉さん、すごいっス」
「すごいね、やったのは私じゃないけど……ガット君、早く逃げよう!」
「はい、今の爆発音で誰かこの部屋に来てますっス」
いま、部屋の入り口から逃げでも騎士に捕まる。どこから逃げる、あの扉の先はバルコニー?
「もうすぐ来ます! どうしましょう、姉さん」
「大丈夫よ、行くわよガット君!」
「へっ、ええええぇ!」
先輩から貰ったワンピースも着ている、バルコニーから飛び降りると決め、カバンを肩にかけ、ビビるガット君を抱っこした。
「ここから飛び降りるから、怖かったら目を瞑っていてね」
「わかりました、しっかり目をつぶりますっス」
よし、躊躇している場合じゃない「行くぞ!」と、手すりを超えてバルコニーから飛び降りた。うわっ…まえより高い……お、お願い、あの日のように翼をください! 私のその願いは届き、背中に翼が生え緩やかに地上までおりれた。
暗闇に隠れて、あがった息を整える。
「はぁ、はぁ――先輩を信じていないわけないけど。高いとこらから飛び降りるのは――勇気がいるわね」
「当たり前っス! 相当の勇気がいるっス。ルーチェ姉さんは頑張ったっス」
癒されるモフモフのガット君。私ひとりだったら、こんなことできなかった、君が来てくれてよかった。
「いない、ルーチェ嬢はどこにいった?」
「この辺りを探せ!」
ここに、いつまでもいられない。いま上では――私がいなくなったと……複数の声が聞こえてくる。
ここは? 中庭? さっき、イアンはカロール殿下と結婚式を挙げると言っていたから……王城の西奥に立つ教会――そこにいるわ)
身を潜め、明かりの少ないところを選び、ガット君といっしょに西奥の教会へと移動を始めた。
ガット君なんて「穴」「穴が!」と呟き、腰を抜かしている。……先輩にもらった杖、一度だけ火魔法のファイアが打てる杖。
その杖からでた炎は、私かも捕まっている牢屋だけではなく、部屋の壁まで穴を開けた。
「ね、ね、姉さん、すごいっス」
「すごいね、やったのは私じゃないけど……ガット君、早く逃げよう!」
「はい、今の爆発音で誰かこの部屋に来てますっス」
いま、部屋の入り口から逃げでも騎士に捕まる。どこから逃げる、あの扉の先はバルコニー?
「もうすぐ来ます! どうしましょう、姉さん」
「大丈夫よ、行くわよガット君!」
「へっ、ええええぇ!」
先輩から貰ったワンピースも着ている、バルコニーから飛び降りると決め、カバンを肩にかけ、ビビるガット君を抱っこした。
「ここから飛び降りるから、怖かったら目を瞑っていてね」
「わかりました、しっかり目をつぶりますっス」
よし、躊躇している場合じゃない「行くぞ!」と、手すりを超えてバルコニーから飛び降りた。うわっ…まえより高い……お、お願い、あの日のように翼をください! 私のその願いは届き、背中に翼が生え緩やかに地上までおりれた。
暗闇に隠れて、あがった息を整える。
「はぁ、はぁ――先輩を信じていないわけないけど。高いとこらから飛び降りるのは――勇気がいるわね」
「当たり前っス! 相当の勇気がいるっス。ルーチェ姉さんは頑張ったっス」
癒されるモフモフのガット君。私ひとりだったら、こんなことできなかった、君が来てくれてよかった。
「いない、ルーチェ嬢はどこにいった?」
「この辺りを探せ!」
ここに、いつまでもいられない。いま上では――私がいなくなったと……複数の声が聞こえてくる。
ここは? 中庭? さっき、イアンはカロール殿下と結婚式を挙げると言っていたから……王城の西奥に立つ教会――そこにいるわ)
身を潜め、明かりの少ないところを選び、ガット君といっしょに西奥の教会へと移動を始めた。