ゾンビ学園-鏡を見たらソレが感染する!?-
それでも千歳は子供みたいにイヤイヤと左右に首を振った。
「1人で廊下に出るなんて絶対にダメ! 明宏が襲われたら、どうせまた誰かが食料を取りに行くことになるんだし、私もついていく」

千歳は強い意思を持って育美からホウキを受け取った。
両手でギュッと握りしめているその手は小さく震えている。
怖いのに無理をしているのは明白だった。

そこまで自分のことを気にかけてくれていることが、明宏には嬉しかった。
「その気持だけで十分-―」

明宏が最後まで言う時間を与えずに育美が深い溜め息を吐き出した。
「そういうのいいから、早くしてくれない? もうお腹ペコペコなんだけど」

ペッタンコで脂肪がほとんどついていないお腹をさすって睨みつけてくる。
明宏は思わず怒鳴り声をあげてしまいそうになったけれど、どうにか喉の奥にしまい込んだ。
「私も一緒に行く」
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