日給10万の結婚
「ええ、毎年私も参加させていただいていますよ! 舞香さんも?」
来た!! 私は心の中でガッツポーズを取る。
吉岡という会社もそこそこ大きい、と玲から聞いていたので、もしやと思っていたのだ。参加はしたことがなくても、何かウワサぐらいは知っているのかもしれないと賭けてみた。でもまさか、参加経験者から直接話を聞けるだなんて。なんて心強いのだ。
私は大きく頷いた。
「今度の誕生会に招待されたんです! その、お義母さまや楓さんもいらっしゃるみたいで。私何も知らないので、失礼があっては困ると思っていて」
「そういうことでしたか! ええ、伊集院さんは礼儀や作法に厳しい方ですからね。私が知っていることは何でも教えますよ」
女神がいた! 私は再度ガッツポーズを取る。
倫子さんはケーキを一口食べると、記憶を引っ張りだすように考えながら説明してくれた。
「ええと、参加者は毎年二十~三十くらいかな。全員女性です。伊集院さまのお家に集まって、ガーデンパーティーをするんです。お庭に軽食とか用意してあって、皆で談笑しながら楽しみます」
「す、すごいですね……」
「それぞれ手土産を持ってきて、奥様にお渡しして、という感じで」
「あ! 甘いものがお好きと聞きました。一体どんなものが好みなんでしょう?」
私がそう尋ねると、倫子さんは驚いたように首を振った。
「違います! 奥様は甘いものが嫌いでいらっしゃるんです」
なんだって!? 私は心の中で、楓さんをぶん殴っていた。あの性悪女、とんでもない嘘をぶっこんでいったんだな!?
あんなこと言って、私が甘いものを持っていって失敗するのを待っていたんだろう。嫌いなものを手土産にするところだった。危ない、楓さんの言うことは何も信じてはだめだな。
額に浮いた汗を拭く。倫子さんは続けた。
「パーティーで用意されている物にも、甘いものは一切ないです。それぐらい苦手らしいんです。フルーツぐらいはありますけどね。奥様はとてもお花が好きでいらして、花はいくらあっても困らない、が口癖です。なので、手土産も皆大体お花に関するものです。生花はもちろん、花の香りがする紅茶だとか、花柄のハンカチだとか……値段より、とにかく花に関わっているかどうかが気に入るポイントかと。ああ、奥様はガーデニングや、華道もなさるんです。そういう道具なども喜ばれます。華道は小さいけど教室も開いているぐらいですよ。完全に趣味でやっているだけのようですが」
「私……甘いものがお好きだと聞いていて……今日倫子さんに聞かなければ、お土産に甘いお菓子とか持って行ってましたよ……」
彼女はぎょっとする。信じられない、とばかりに首を振った。
来た!! 私は心の中でガッツポーズを取る。
吉岡という会社もそこそこ大きい、と玲から聞いていたので、もしやと思っていたのだ。参加はしたことがなくても、何かウワサぐらいは知っているのかもしれないと賭けてみた。でもまさか、参加経験者から直接話を聞けるだなんて。なんて心強いのだ。
私は大きく頷いた。
「今度の誕生会に招待されたんです! その、お義母さまや楓さんもいらっしゃるみたいで。私何も知らないので、失礼があっては困ると思っていて」
「そういうことでしたか! ええ、伊集院さんは礼儀や作法に厳しい方ですからね。私が知っていることは何でも教えますよ」
女神がいた! 私は再度ガッツポーズを取る。
倫子さんはケーキを一口食べると、記憶を引っ張りだすように考えながら説明してくれた。
「ええと、参加者は毎年二十~三十くらいかな。全員女性です。伊集院さまのお家に集まって、ガーデンパーティーをするんです。お庭に軽食とか用意してあって、皆で談笑しながら楽しみます」
「す、すごいですね……」
「それぞれ手土産を持ってきて、奥様にお渡しして、という感じで」
「あ! 甘いものがお好きと聞きました。一体どんなものが好みなんでしょう?」
私がそう尋ねると、倫子さんは驚いたように首を振った。
「違います! 奥様は甘いものが嫌いでいらっしゃるんです」
なんだって!? 私は心の中で、楓さんをぶん殴っていた。あの性悪女、とんでもない嘘をぶっこんでいったんだな!?
あんなこと言って、私が甘いものを持っていって失敗するのを待っていたんだろう。嫌いなものを手土産にするところだった。危ない、楓さんの言うことは何も信じてはだめだな。
額に浮いた汗を拭く。倫子さんは続けた。
「パーティーで用意されている物にも、甘いものは一切ないです。それぐらい苦手らしいんです。フルーツぐらいはありますけどね。奥様はとてもお花が好きでいらして、花はいくらあっても困らない、が口癖です。なので、手土産も皆大体お花に関するものです。生花はもちろん、花の香りがする紅茶だとか、花柄のハンカチだとか……値段より、とにかく花に関わっているかどうかが気に入るポイントかと。ああ、奥様はガーデニングや、華道もなさるんです。そういう道具なども喜ばれます。華道は小さいけど教室も開いているぐらいですよ。完全に趣味でやっているだけのようですが」
「私……甘いものがお好きだと聞いていて……今日倫子さんに聞かなければ、お土産に甘いお菓子とか持って行ってましたよ……」
彼女はぎょっとする。信じられない、とばかりに首を振った。