日給10万の結婚
「そういうこと。正直に言うけど、家柄を見ると舞香と結婚するメリットはない。だから親はよっぽどじゃないと舞香を認めたなんて思わない、そこはお前次第」
家柄、か。そりゃそうだろう、二階堂という会社とボロアパートに住む女なんて、どこのテレビドラマだよというぐらい相応しくない。今の婚約者さんは、家柄もいいお嬢様なんだろう。会社的にメリットが大きいんだろうな。
でもそれって酷くないか? 自分の大事な息子の結婚すら、メリットしか考えてないなんて。そこに玲の意志は無視なんて。
「どうした、怖気づいたか」
「悲しいな、って思ったの。結婚って普通会社のメリットとかで決めるものじゃないでしょ。それを二階堂に生まれたがゆえ、好きに結婚もできないなんて。金持ちにも苦労はあるんだね」
私がしみじみとそう言うと、玲は驚いたように目を丸くする。そしてすぐに面白そうに笑った。
「余裕だな、こんな時に俺に同情か」
「同情じゃない、私の感想。
分かった、死に物狂いで頑張る。ビシビシ鍛えてほしい、厳しくして」
「上等。信頼できるルートから講師をつける」
「本当漫画みたい……」
「圭吾が手配する。昼間は俺も圭吾も会社に行くから、舞香は家で勉強だ。俺たちの結婚は舞香が全部こなすまでは内密にしておくから」
「は、はい。頑張る」
「よし。今日は飲んで食って寝ろ」
玲は缶ビールを私に差し出した。私はそれに持っているビールを優しくぶつける。
ああ、明日から一体どんな毎日が待っているんだろう、そう不安を持ちながら。
その後、玲がキッチンから色んな食材を出してきて二人で食べた。家事は基本代行があるからご飯も作り置きしてくれているらしい。家事ぐらい私が、と言いたかったが、そんな暇があるなら勉強しなくちゃいけないよなと思い改まった。
そして程よく酔い、その日はお開きとなる。
私はいい感じにアルコールが回ったので熟睡……
する前に、問題がまだ残っていた。
家柄、か。そりゃそうだろう、二階堂という会社とボロアパートに住む女なんて、どこのテレビドラマだよというぐらい相応しくない。今の婚約者さんは、家柄もいいお嬢様なんだろう。会社的にメリットが大きいんだろうな。
でもそれって酷くないか? 自分の大事な息子の結婚すら、メリットしか考えてないなんて。そこに玲の意志は無視なんて。
「どうした、怖気づいたか」
「悲しいな、って思ったの。結婚って普通会社のメリットとかで決めるものじゃないでしょ。それを二階堂に生まれたがゆえ、好きに結婚もできないなんて。金持ちにも苦労はあるんだね」
私がしみじみとそう言うと、玲は驚いたように目を丸くする。そしてすぐに面白そうに笑った。
「余裕だな、こんな時に俺に同情か」
「同情じゃない、私の感想。
分かった、死に物狂いで頑張る。ビシビシ鍛えてほしい、厳しくして」
「上等。信頼できるルートから講師をつける」
「本当漫画みたい……」
「圭吾が手配する。昼間は俺も圭吾も会社に行くから、舞香は家で勉強だ。俺たちの結婚は舞香が全部こなすまでは内密にしておくから」
「は、はい。頑張る」
「よし。今日は飲んで食って寝ろ」
玲は缶ビールを私に差し出した。私はそれに持っているビールを優しくぶつける。
ああ、明日から一体どんな毎日が待っているんだろう、そう不安を持ちながら。
その後、玲がキッチンから色んな食材を出してきて二人で食べた。家事は基本代行があるからご飯も作り置きしてくれているらしい。家事ぐらい私が、と言いたかったが、そんな暇があるなら勉強しなくちゃいけないよなと思い改まった。
そして程よく酔い、その日はお開きとなる。
私はいい感じにアルコールが回ったので熟睡……
する前に、問題がまだ残っていた。