日給10万の結婚
「しかし金城親子の参加も予想外でしたね」
玲が答える。
「あの様子は全然諦めてないぞあれ。敵意ビンビンの目で見てきたし」
あっと思い出す。そうだ、婚約者の楓さんについて、私は聞きたいことがあったのだ。玲に向き直り、率直な疑問を口にした。
「ねえ、楓さんめっちゃ美人だし玲の好きなメロンだったじゃん!?」
「はあ? メロン?」
「胸がメロンってことよ。どう見ても滅茶苦茶レベル高い女の子なのに、どうしてあんなに結婚を嫌がっていたの?」
「俺はメロン嫌いだよ」
「果実の種類はどうでもいいんだよ」
玲は大きなため息をついた。そして少しだけ口を歪めながら、私に言う。
「お前気づかないか? あの短時間でもわかっただろう」
「え、何が? あれ偽物メロン?」
「メロンから離れろよ。あいつはな……
圧倒的に性格が悪い」
てっきり何か凄い秘密などが出てくるのかと思った自分は、そんな普通の悪口が飛び出して少し拍子抜けした。だがそんな私を、玲は不満そうに見る。
「どれだけ可愛くてスタイルがよくてもあれは異様なまでの性格の悪さだ」
「玲に言われるとか世も末」
「俺の百倍は悪い」
「ひええ! それやばいじゃん!」
「その例えで納得するのかよ……」
なぜか彼は不満げだが、だってそうじゃないか。玲は圭吾さんと違って結構性格歪んだ男だもん、その玲の百倍悪いって、サイコパスじゃん。
しかし意外にも、圭吾さんも同意した。彼は悲し気な声で言う。
「今まで玲さんの近くにいる女性は悉く苛め抜かれ、嫌がらせをされ、すぐに玲さんのそばからいなくなりました……」
「えげつないことしておいて俺の前ではあの甘ったるい声出すし」
「その割にはご本人は結構奔放らしく、色んな男性と密会しているようですし」
「人を見下すし世界は自分を中心に回ってると本気で思ってる。うちと結婚すれば金城家は勿論いい思いをするから何とか結婚まで持っていきたかったみたいだけど、俺はあんな恐ろしい女と一生添い遂げるなんて勘弁だね」
二人から飛び出してくる楓さんの情報に、開いた口が塞がらなかった。あんな可愛い顔をしておいて、そんな恐ろしい人だったなんて。いやでも、やたら手を強く握られたし汚れた私を見て笑ってたけど……でもそこまでとは。
さすがの玲も手に負えない、ということか。私はようやく納得した。虐めに耐えられぐらいガッツのある女じゃないと、玲の結婚相手は務まらないのだ。
「凄い人なんですね、楓さん……全然そんなふうに見えない……」
「見えるじゃん、性格の悪さが顔からにじみ出てるんだよ。あいつと結婚しろって言われた時頭が真っ白になった、楓の性格の悪さは一部の人間には有名だからな。知らない奴は騙されるだろうけど。だから、今日のお披露目で舞香との結婚を心から祝ってるやつらはきっと知ってるんだよ。逃げられておめでとう、という拍手だったわけだ」
「楓さんの性格の事、ご両親は知らないの?」
私が尋ねると、玲はふいっと視線を外に向けた。流れる景色を見ながら、言葉を吐き捨てる。
玲が答える。
「あの様子は全然諦めてないぞあれ。敵意ビンビンの目で見てきたし」
あっと思い出す。そうだ、婚約者の楓さんについて、私は聞きたいことがあったのだ。玲に向き直り、率直な疑問を口にした。
「ねえ、楓さんめっちゃ美人だし玲の好きなメロンだったじゃん!?」
「はあ? メロン?」
「胸がメロンってことよ。どう見ても滅茶苦茶レベル高い女の子なのに、どうしてあんなに結婚を嫌がっていたの?」
「俺はメロン嫌いだよ」
「果実の種類はどうでもいいんだよ」
玲は大きなため息をついた。そして少しだけ口を歪めながら、私に言う。
「お前気づかないか? あの短時間でもわかっただろう」
「え、何が? あれ偽物メロン?」
「メロンから離れろよ。あいつはな……
圧倒的に性格が悪い」
てっきり何か凄い秘密などが出てくるのかと思った自分は、そんな普通の悪口が飛び出して少し拍子抜けした。だがそんな私を、玲は不満そうに見る。
「どれだけ可愛くてスタイルがよくてもあれは異様なまでの性格の悪さだ」
「玲に言われるとか世も末」
「俺の百倍は悪い」
「ひええ! それやばいじゃん!」
「その例えで納得するのかよ……」
なぜか彼は不満げだが、だってそうじゃないか。玲は圭吾さんと違って結構性格歪んだ男だもん、その玲の百倍悪いって、サイコパスじゃん。
しかし意外にも、圭吾さんも同意した。彼は悲し気な声で言う。
「今まで玲さんの近くにいる女性は悉く苛め抜かれ、嫌がらせをされ、すぐに玲さんのそばからいなくなりました……」
「えげつないことしておいて俺の前ではあの甘ったるい声出すし」
「その割にはご本人は結構奔放らしく、色んな男性と密会しているようですし」
「人を見下すし世界は自分を中心に回ってると本気で思ってる。うちと結婚すれば金城家は勿論いい思いをするから何とか結婚まで持っていきたかったみたいだけど、俺はあんな恐ろしい女と一生添い遂げるなんて勘弁だね」
二人から飛び出してくる楓さんの情報に、開いた口が塞がらなかった。あんな可愛い顔をしておいて、そんな恐ろしい人だったなんて。いやでも、やたら手を強く握られたし汚れた私を見て笑ってたけど……でもそこまでとは。
さすがの玲も手に負えない、ということか。私はようやく納得した。虐めに耐えられぐらいガッツのある女じゃないと、玲の結婚相手は務まらないのだ。
「凄い人なんですね、楓さん……全然そんなふうに見えない……」
「見えるじゃん、性格の悪さが顔からにじみ出てるんだよ。あいつと結婚しろって言われた時頭が真っ白になった、楓の性格の悪さは一部の人間には有名だからな。知らない奴は騙されるだろうけど。だから、今日のお披露目で舞香との結婚を心から祝ってるやつらはきっと知ってるんだよ。逃げられておめでとう、という拍手だったわけだ」
「楓さんの性格の事、ご両親は知らないの?」
私が尋ねると、玲はふいっと視線を外に向けた。流れる景色を見ながら、言葉を吐き捨てる。