日給10万の結婚
「これ、この前の土曜日圭吾さんに選ぶの手伝ってもらった! だから、多分センス悪くないと思うよ!」
玲は無言でそれを受け取った。そして私たちを交互に見る。
「二人でこれを?」
「あ、僕はちょっと助言しただけで、選んだのは舞香さんですよ」
「圭吾さんはケーキ買ってくれたの! 男からの贈り物は消耗品がいいとか言って」
二人で笑う。玲はしばらく小包を見つめたあと、ゆっくり開封した。中はたいそうなものではない、ボールペンだ。
いくつあっても困らないもの、と考えて、いいボールペンにした。仕事で必ず使うだろうし、センスがなくても失敗しないだろうと思ったのだ。私は恐々彼の顔を見る。
じっとペンを眺めていた玲は、次の瞬間表情を緩ませた。目を細め、はにかんで笑う。その笑い方が普段とはまるで違って、子供のようで、私はついドキリとした。
「そっか……俺の誕生日か……ありがとう。凄く嬉しい」
そんなストレートなお礼の言葉が飛び出して、予想外の事に固まってしまった。そんな素直に喜ぶとは思っていなかった。いつも口が悪くてデリカシーもない男が、こんな顔をするなんて。
ドキドキしてしまった心臓を誤魔化すように、私は慌てて言った。
「じゃ、じゃあ食べよう! たくさん作ったから、頑張ってね!」
私の子供向け料理も何か言われるかと思っていたが、ちらりと見れば、玲は顔を綻ばせてハンバーグに手を伸ばしていた。これまた予想外だ、少しくらい憎まれ口をたたかれるかと思っていたのに。『栄養バランス考えろ』とか、『子供かよ』とか。
私が圭吾さんをちらりと見ると、彼は『言ったでしょ?』と言わんばかりに私を見た。
喜んで次から次へと食べる玲を見て、なんだか胸のあたりが温かくなる。私はにやける顔を隠すように、オムライスを頬ばった。
玲は無言でそれを受け取った。そして私たちを交互に見る。
「二人でこれを?」
「あ、僕はちょっと助言しただけで、選んだのは舞香さんですよ」
「圭吾さんはケーキ買ってくれたの! 男からの贈り物は消耗品がいいとか言って」
二人で笑う。玲はしばらく小包を見つめたあと、ゆっくり開封した。中はたいそうなものではない、ボールペンだ。
いくつあっても困らないもの、と考えて、いいボールペンにした。仕事で必ず使うだろうし、センスがなくても失敗しないだろうと思ったのだ。私は恐々彼の顔を見る。
じっとペンを眺めていた玲は、次の瞬間表情を緩ませた。目を細め、はにかんで笑う。その笑い方が普段とはまるで違って、子供のようで、私はついドキリとした。
「そっか……俺の誕生日か……ありがとう。凄く嬉しい」
そんなストレートなお礼の言葉が飛び出して、予想外の事に固まってしまった。そんな素直に喜ぶとは思っていなかった。いつも口が悪くてデリカシーもない男が、こんな顔をするなんて。
ドキドキしてしまった心臓を誤魔化すように、私は慌てて言った。
「じゃ、じゃあ食べよう! たくさん作ったから、頑張ってね!」
私の子供向け料理も何か言われるかと思っていたが、ちらりと見れば、玲は顔を綻ばせてハンバーグに手を伸ばしていた。これまた予想外だ、少しくらい憎まれ口をたたかれるかと思っていたのに。『栄養バランス考えろ』とか、『子供かよ』とか。
私が圭吾さんをちらりと見ると、彼は『言ったでしょ?』と言わんばかりに私を見た。
喜んで次から次へと食べる玲を見て、なんだか胸のあたりが温かくなる。私はにやける顔を隠すように、オムライスを頬ばった。