夫婦ごっこ
「義昭くん、本当によかったね。奈央ちゃん義昭くんのことよろしくね。ってなんか結婚式のときみたいになっちゃった」
結婚式のときにも散々義昭をよろしくと言われたのだ。家族に大切に思われている義昭のことを自分も大切にしようとあのとき固く誓った。義昭への気持ちは変わってしまったけれど、彼を大切にしたいというその気持ちは今も変わりない。
「私のほうが義昭さんに支えてもらってますけど、私も義昭さんのことちゃんと支えていくので安心してください」
「もう、義昭くん、こんないい子本当によく見つけてきたねー」
「そうだね。奈央さんと出会えたことは人生で一番の幸福だよ」
そう述べる義昭は奈央を見て優しい微笑みを浮かべていて、奈央は胸がいっぱいになった。
義昭のその言葉を真っ直ぐに受け止められたらどんなによかっただろうか。義昭への恋心を自覚し、向き合うべきその事実を目の前にしている今は、素直には受け止められない。義昭との間に想いの差が生じていると思うと受け止めるのが怖いのだ。
きっと今までの奈央なら、自分も義昭と出会えて幸せだと返しただろう。でも、自分の想いに真実味の増すその言葉は今は言えない。
代わりに奈央は話題を逸らす言葉を口にしていた。
結婚式のときにも散々義昭をよろしくと言われたのだ。家族に大切に思われている義昭のことを自分も大切にしようとあのとき固く誓った。義昭への気持ちは変わってしまったけれど、彼を大切にしたいというその気持ちは今も変わりない。
「私のほうが義昭さんに支えてもらってますけど、私も義昭さんのことちゃんと支えていくので安心してください」
「もう、義昭くん、こんないい子本当によく見つけてきたねー」
「そうだね。奈央さんと出会えたことは人生で一番の幸福だよ」
そう述べる義昭は奈央を見て優しい微笑みを浮かべていて、奈央は胸がいっぱいになった。
義昭のその言葉を真っ直ぐに受け止められたらどんなによかっただろうか。義昭への恋心を自覚し、向き合うべきその事実を目の前にしている今は、素直には受け止められない。義昭との間に想いの差が生じていると思うと受け止めるのが怖いのだ。
きっと今までの奈央なら、自分も義昭と出会えて幸せだと返しただろう。でも、自分の想いに真実味の増すその言葉は今は言えない。
代わりに奈央は話題を逸らす言葉を口にしていた。