夫婦ごっこ
「あの、子供たちは今日はどうしてるんですか？」
「あー、今ね、お友達と遊びにいってるの。お昼には戻ってくるから、そしたら少し相手してやってくれる？　二人に会うの楽しみにしてたから」
「そうなんですね。もちろんですよ。私も会うの楽しみにしてましたから」

　慶子の子供たちに会うのが楽しみだったのは本当だ。八歳の姪と五歳の甥はそれはそれはかわいい。結婚式のときに「奈央ちゃん、おめでとう」と言ってもらって、メロメロになってしまった。

　義昭も姪と甥のことは随分とかわいがっているようだった。今もとても優しい表情をしている。義昭は以前折り合いをつけたと言っていたが、今に至るまでには大きな葛藤もあったのかもしれない。これからも親戚としての関りは続いていくのだし、義昭ができるだけ穏やかな気持ちで関りを持てるように手助けできたらと思う。

「ありがとう、奈央ちゃん。あ、そうだ。二人に訊きたいことあるんだった」
「あー、何か言ってたね。訊きたいことって何？」

　慶子と義昭の間で事前に何かやりとりがあったようだ。でも、義昭も詳細は知らないらしい。訊きたいことといってもそんな困るような内容ではないだろうと奈央は思ったが、慶子からの問いは二人をものすごく苦い気持ちにさせるものだった。
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