熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

「仮に」

成輔が発した声は低い。

「仮に百合ちゃんが俺を好きでも、それは俺には関係ない」

成輔は私をじっと見降ろしている。居心地が悪く、私はソファから立ち上がった。

「俺が好きなのは葵。まだ伝わってなかった？」
「伝わってる……し、成輔を好きになろうと努力もしてる。……だけど、やっぱり釣り合わないと思う。私はたいした人間じゃない。好きだ好きだと持ち上げられ、大事にされても、私の中では『そうじゃない』としか思えない」
「人間性の自己評価が低いのは知っていたけれど、面倒くさいことを言うね」

ふう、と聞こえてきたため息は深く重苦しい響きだった。

「俺がきみを好きなんだよ。きみが俺の好意を邪魔に思っても評価を過分だと思っても、俺はそれを辞めるつもりはない。俺が好きなのはきみ。添い遂げたいのはきみ。……それなのにひどいな」

ひどいことを言っている自覚はあった。ただ、百合の恋心の可能性を知った日から揺れていた感情が爆発した。

「ごめん、ちょっと頭冷やす」

そう言って立ち去ろうとする私の腕を成輔が取った。抱き寄せられるが、両手で胸を押し返す。成輔は私の拒否に、素直に腕を離した。
それが余計に気まずい空気を増長させる。