熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

「結局、俺の片想いのままだ。それでいいと俺は思ってるけど、他に女性を勧められるっていうのは傷つくものだね」
「私は最初から、成輔にはもっとふさわしい人がいると思ってる」
「それって誰が決めるの？　葵？　世間？　……俺にきみ以上はいないのに」

成輔はそう言うと私から顔を背け、自室に入っていった。
私もやるせない気持ちのまま、自室に入る。こうなると、同居していても顔を合わせることはない。
自分の言葉やぐらぐらする精神に耐えかねてベッドに入った。そして深夜まで眠ってしまった。

夜中にリビングに出ると、ダイニングテーブルにメモがあった。カレイの煮つけと小松菜の胡麻和えが冷蔵庫にあるそうだ。
私は夜中にそれを温めてひとりで食べた。成輔は眠っているだろう。

好きになる努力をしているだなんて、なんとも珍妙だなと思った。
成輔が許してくれているから、私は同居からひと月ちょっとルームシェアみたいな生活を楽しんでいる。
でも、成輔に対してはそもそも失礼なことだ。成輔自身がそれを許したとしても。

「やっぱりこんな同居生活に無理があったのかな」

成輔の料理は変わらず美味しいけれど、胸が重たくて、楽しい気持ちでは食べられなかった。