熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

大事なことだから早く話そうと思った。
成輔とは昨日の気まずい空気のまま。今朝会ったときもろくに会話しなかった。
深夜仕事から帰ってきた成輔は、私の顔を見て繰り返した。

「京都？」
「そう、ふた月くらいの出向」

成輔は間を置かず頷いた。

「行くしかないんだろう。俺はきみの仕事について妨害する気はない」

そう言いながら不機嫌な顔だ。

「一応だけど、誤解されたくないから言っておく。今谷も同じく出向だから」
「それで、同じ場所にでも寝泊まりするの？」

成輔の言葉はどこかあざけるように響いた。そんなわけないじゃないと思いつつ、面白くない気持ちもわかる。

「住むところは総務が用意してくれるけど、同じ場所じゃない。今谷とは仕事上もたいして関わらないだろうと思う」

信じてほしい。私はあなただけ。

そんな言葉を口にできない自分がいる。
成輔にはもっとふさわしい人がいると言ったのは昨日のことだ。その気持ちはまだ変わっていない。

「私がいない間、百合と少し話してみるのはどう？」

もし、百合の恋心が今もなおあるなら、姉としてそれだけは叶えてあげたい。無神経に成輔と結婚を決めてしまったのだから。