熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「もう、迎えはいいって言ってるよね。バスを途中下車してるんでしょ。無駄じゃない?」

すると今谷は明るく答える。

「食事も誘えない関係なんだから、朝、通勤がかぶるくらい許してよ」
「かぶってるんじゃなくて、かぶせてるんだよね」
「俺だって、色々作戦考えてるんだ。京都にいる間に、院田の気持ちを動かしたいし」

まだあきらめていないらしい。私のどこがいいのだろう。モテていると浮かれるような性格でもない。正直、現状を成輔が知ったときの面倒くささの方が気鬱になる。

そこまで考えて、成輔はもう私に嫉妬もしないかもしれないとも考えた。
最後の喧嘩。成輔が私を見限るには充分じゃなかろうか。
離れている間に気持ちだって冷めるかもしれない。だって、京都にやってきてひと月、成輔は一度だって私に会いにこない。学生時代はしょっちゅう理由をつけて会いにきていたのに。

(こんな考え方自体が傲慢だよ)

愛されている自負のある女は傲慢だ。自分で自分が嫌になる。
成輔が私を好きじゃなくなることは充分あるし、今までならそれでいいと思っていた。
隣に立つのは百合の方がふさわしい。その考えは今でも心の片隅から消えないのに、どうしてだろう。
成輔があの情熱を他の誰かに向けたら、きっと私はすごく悲しい。
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