熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

「院田、朝メシ食べた？」
「食べた」
「俺、まだなんだ。時間もあるし、カフェでも」
「食べたって。コーヒーでも飲んで付き合えってこと？　それ、いい誘い方じゃないと思う」

彼に好意がある子なら自分から『朝ごはん、付き合おうかな』なんて返すのかもしれない。
今谷は見るからに明るい好青年で、おそらく今までの人生でもグループの中心にいたタイプだろうことは簡単に想像がつく。放っておいても人が集まってきたのだろう。
そのせいか、私のように他者に壁を立てる人間への誘い方が壊滅的に下手だ。追えば追うだけ逃げていくというのに。

（だから成輔は、私との距離を測り続けていたのかな）

軽く口にされる好意。会いにはきても、それ以上は押してこない。
同居を初めてからも、この前だって、いつも嫌がればさっと引く。私のために。
独占欲が強く嫉妬深い成輔にとって、私との距離の測り方は、いつだって自制しながらだっただろう。

（駄目だ。また、成輔のことを考えてる）

私はコンビニで朝食を買っている今谷を待ちながら、額を押さえた。
私は成輔をどう思っているのだろう。会いたいのだろうか。
もう、成輔は私を想っていないかもしれないのに。