熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
百合が京都にやってくることになった。
イベントに飾る生け込みを作りにくるのが急遽決まったという。百合には主催者側がホテルを用意してくれているそうで、せっかくなので私も併せてそのホテルに予約を取った。秋の行楽シーズンだったし、ちょっといいホテルなのでお財布には痛いけれど、百合が来てくれるなら過ごしたかったのだ。

一方で、まだ百合に成輔の件を尋ねる覚悟は決まり切っていなかった。百合の返答次第では、私は本当に成輔との関係を取り戻せなくなるだろう。

金曜の昼に到着した百合は、午後いっぱいを使って仕事をこなし、終業後の私とはホテルで待ち合わせた。

「美味しいお店に予約してあるから」
「お姉ちゃんの味覚なら信頼できる」

百合を連れてきたのは学生時代から何度も来ている洋食屋だ。

「何度も京都を案内してもらってるけど、このお店は初めてね」
「でしょ。実はここが一番のおすすめ。量が多いから、食べきれなかったら言って。私、食べる」

京都に住んでいた頃は、たまに百合が遊びに来てくれるとザ・京都といったお店ばかり案内していた。姉として見栄を張りたかったし、もてなしとはそういうものだと思っていたから。
だけど、私も少し大人になったので、気取らずに美味しいものをたくさん食べられるお店に連れて行きたかった。
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