熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「せめて、今日くらい夕食に付き合ってよ」
「ごめんね、帰って荷造りしなきゃならないから」
「あーそう。じゃあ、一緒に帰らせて」

帰り道はバスだ。下宿が電車よりもバス停が近いというのが理由。観光客も多い時期の金曜夜。バスは混みあっていた。
私の下宿のバス停で今谷も一緒に降りる。

「それじゃあ、また東京で」
「院田、俺は本当に見込みないの?」
「じゃあ、聞くけど、私のどこが好きなの?」
「え? まずは顔」

コケそうになった。そんなにストレートに言うヤツがあるだろうか。

「眼鏡が似合うクールな美人って周りにいなかったし。あ、もちろんそれだけじゃない。中身も面白いなって。年上なんだけど、そんな感じしなくて親しみやすかった」

素直なのはいいことだと思いながら、彼に期待を持たせてはいけないのもわかっている。
ここではっきりさせておきたい。

「今谷と私、価値観は合わないと思うよ。それは一緒にいてわかる。面白いって感じたのは今までそばにいないキャラクターだったからじゃないかな。気が合う女性を探してほしい」
「じゃあ、あの婚約者と院田は気が合うの? とてもそんな感じには見えなかったけれど」

私は詰まった。
成輔を長く苦手だと思ってきたのは私だ。それでも、今は違う。
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