熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
普段よりお風呂に時間がかかっていたのは、これから先に起こることを先延ばししたかったわけじゃない。ただただ緊張でいたたまれなかった。あちこち余計に洗ってしまったし、ムダ毛の心配もした。髪は念入りに乾かし、触ってざらざらしないように、唯一持っているボディ用の乳液を全身に塗りたくった。

「湯あたりしてない? 顔真っ赤だよ」

バスローブ姿でベッドルームに入ると、成輔が私を見て笑う。湯あたりなのか、緊張なのかわからない。

「ほら、お水飲んで。俺も入ってくるから、少し休んでいて」
「寝ないようにするから!」
「寝ちゃっても大丈夫だよ。無理しないで」

そんなに優しくしないでほしい。成輔はどこまでも私に甘い。
眠ってしまうかもなんて心配は杞憂だった。そわそわドキドキして眠るどころじゃない。
バスローブのままベッドに転がり、まんじりともせず天井を眺める。
眼鏡は外しているので視界はぼやけている。
このくらいのほうが緊張感が薄れるだろうか。いや、駄目だ。昨夜のことを思い出して、全身がむずむずしてしまう。

「葵」

戻ってきた成輔。バスローブ姿は同じなのに、心臓が壊れそうにどかどかと鳴った。
いよいよなのだ。
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