熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
12月、東京に戻ってきてひと月が経った。こちらの仕事のペースに戻りながら結婚式の準備は着々と進めている。年明けの婚姻届け提出を前に職場にも結婚報告をした。

「おめでとう」

上司や先輩の反応は好意的だった。まだ入社一年目。嫌な目で見る人もいるのではと心配だったけれど、そんなこともなく安心した。

「結婚式の前後は休めるようにこちらもスケジューリングするから、遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます」
「院田さんは京都でも評判が高かったんだよ。真面目で熱心だってね。長く勤めてほしいし、結婚や妊娠出産なんかの人生のイベントは会社としても力になるからさ。ママになっても働いている女性もたくさんいる。話を聞いてごらん」

理解のある振りではなく、実績として出産後も働いている女性社員がいるのは大きい。今度、本当に話を聞いてみよう。

「やっぱ結婚しちゃうのかあ」

そんなふうに話しかけてきたのは東京に戻ってきたばかりの今谷だ。会社への報告と同時に同期のメッセージアプリの同期グループでも報告したのだ。

「まあ、そういう運びになりました。最初から決まってたし」
「いや、絶対俺の存在がふたりの愛を盛り上げちゃったでしょ」

今谷は不満顔だ。盛り上げたというか、成輔の執着を煽ったというか。

「不本意だけど、おかげ様でと言っておく。今谷、色々ありがとう」
「全然嬉しくない。でも、おめでとう。結婚しても仕事辞めないだろ」
「うん、好きで就いた研究職だから」

私は胸を張って答えた。私が私の道を行くのを、成輔は応援してくれる。喜んでくれる。
それなら私は思う通りに動いていい。それが彼の愛への敬意だ。
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