熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「年末は忙しいし、お互いにあまり無理はしないようにしよう」

そう言いながら、今日も夕食を作ってくれるのは成輔である。きっと私の何倍も忙しいだろうに、いつだって家庭優先にしてくれている。

「成輔こそ無理しないように。私との約束で、炊事や家事を頑張ってくれてるんだろうけど、別に居心地よくしてくれなくても成輔といるから」
「嬉しいなあ。でも、俺は好きな人に尽くしたいタイプなんだよね」

テーブルに並ぶのは、白身魚のソテー。ハーブが添えられている。私が好きだからポトフも今朝から仕込んでくれている。

「じゃあ、私も成輔に尽くせるようになればいいかな」
「葵は葵でいいの。でも、そんなふうに言ってくれるなら」

成輔はグラスをテーブルに置いて、自身の頬をちょいちょいと指さす。これはキスしてほしいという意味だろうか。
私は眉間にしわを寄せたまま、成輔にちょこちょこ歩み寄って頬にキスをした。
嫌なのではない。恥ずかしいのだ。恋が叶ったばかりのラブラブな恋人同士である自覚はあるけれど、そもそも私の性格がイチャイチャラブラブに向いていない。すべてが常に恥ずかしいのだ。

「葵からアクションをもらえるとご褒美感があるなあ。俺、幸せ」
「今のって成輔のおねだりに応えたんですけど」
「じゃあ、今度から葵の判断でやってもらおうかな」

そんなの余計難しい。

一方で、私は食卓につきながら、ここ数日考えていたことを言うチャンスかもしれないと思っていた。
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