熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

父の言葉に不覚にも涙が出そうになった。
私は自分の生け花に納得ができなかった。だけど師である父は、私のいい部分を光として見てくれていたのだ。父には届いていたのだ。

「もう、こんなときに言わないでよ」

涙をこらえるために、私は笑う。
木の扉が開く。荘厳な音楽と賛美歌のコーラス。ヴァージンロードの先に成輔が待っている。私は一歩一歩歩み寄る。こういうことで感動するタイプではないと思っていたけれど、結構じんとくるものだななんて思いながら。


挙式はつつがなく終わり、そのまま披露宴となった。
といってもうちの両親と百合、母方の祖父母、叔父叔母が親戚。あとは院田流のお弟子さんの中でも、長年父を支えてくれている方がふたり。
成輔の方は風尾社長と、そのご兄弟。風尾グループでも成輔や社長と関係が深い社員が代表でふたり。成輔の秘書の男性は遠慮すると丁寧なご挨拶とお花が届いた。そして、成輔のお母さんの名代としてオーストラリアから伯父さんと従兄の男性が参加している。
親族での食事会ではあるが、私は風尾家の人たちへの顔見せもあり、成輔は私の親戚への顔見せでもある。