熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「はじめまして、成輔の従兄の小沢康太(おざわこうた)です」

挨拶に来てくれた男性は初めて会う成輔の従兄。成輔の話では、別れたお母さんは風尾社長のご兄弟に嫌われているらしく今日のこの場にはこないと言い張ったそうだ。伯父と従兄は、オーストラリアにある風尾グループの関連企業に勤務しているらしい。仕事上の繋がりがあるふたりがお母さんの名代として日本にやってきてくれたそうだ。

母方の従兄の康太さんはあまり成輔とは似ていない。成輔がお父さんの風尾社長に似ているということもあるかもしれない。ただ人のよさそうな笑顔に私も笑顔を返した。

「葵です。今日は遠いところをありがとうございます」
「たまには風尾グループの本社に顔を出したいと思っていたので父も僕もちょうどよかったんですよ。オーストラリアで風尾グループの持っているアパレルブランドの制作部門を任されているんです。下請けみたいな感じでね」

その言い方に何か引っかかるものを感じた。自負とも自虐とも取れるというか。

「康太、今日はありがとう」

成輔が私の隣に戻ってきて、従兄に挨拶をする。

「やあ、成輔。おめでとう。ハネムーンは行かないと聞いたけど、オーストラリアに来てくれればいいのに。叔母さんもそのパートナーもきみに会いたがっているよ」
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