熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
成輔は笑顔のままだが、私はなんとなく嫌な感触を覚えた。成輔がお母さんの再婚で傷ついた過去を知っているからだ。無神経に聞こえたのだ。
しかし、彼にはそんな意図はないかもしれない。

「きみが新妻を連れていったら、きっとすごく喜ぶと思うなぁ。叔母さん夫妻が経営しているカフェも色々大変そうだし、きみが盛り上げてあげればいいのにと思ってるんだよ」

いいや、やっぱりなんだか失礼な人だぞ。私の中で、成輔の従兄のイメージが傾き出した。
盛り上げてあげればというのは、援助や出資をさしているのだとしたら、余計に嫌な感じだ。
しかし、私のもやもやの一方で成輔は笑顔のままだ。

「残念だけど、ハネムーンは別な時期に彼女と相談して行先を決めるよ。俺はリゾート地にしようかと思っているんだけど、彼女は涼しくて静かな土地がいいと言うしね。ふたりでじっくり考えることにするよ」

ハネムーンという点にだけ言及し、あとはスルーだ。おそらく成輔はこの従兄がどういう人なのかよくわかっているのだろう。だから、距離の測り方が上手いのだ。

「式が終わって明日以降に仕事の話をしよう。伯父さんにも相談したいことがあるから、よろしく伝えてくれ」

やんわりと会話を終えてしまう成輔。
そこに百合がやってきた。
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