熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「葵?」

退室してきた成輔が、追いついてきて私の顔を覗き込む。

「どうした? 顔色が真っ青だ」
「は、……きそ」

私の精一杯の言葉に、即座に成輔は頷いた。

「ちょっと我慢して」

私を横抱きに抱き上げると、廊下の先の新婦控室まで揺れないように運んでくれる。

「タオルをお願いします」

介添え人に頼み、そのまま控室の洗面所に私を運ぶ。そのままごほごほとせき込んで吐く私の背中をさすってくれた。ウエディングドレスが汚れないように、タオルや手であちこちガードしてくれていたのは後から気づいた。

ひとしきり吐き終えると、少し楽になったが、まだぐらぐらと世界が揺れる感覚がする。
成輔と介添え人がウエディングドレスを脱がせてくれ、ドレス用のコルセットやガードルなども外した。一時的にバスローブ姿になった私は、ぐったりとソファに横になった。

「葵、大丈夫?」
「うん。そんなに食べてないのになあ。コルセットの締め付けも別に苦しくなかったんだけど」

コルセットやガードルを外しても、気持ち悪いのが完全になくなっていないのだ。
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