熱情滾るCEOから一途に執愛されています～大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました～

トイレをよろよろと出てくると期待に満ちた目をしている百合がいる。拳を握って私の言葉を待っている。私は検査薬のスティックを見せた。

「妊娠、してるみたい」
「きゃー！　やったー！」

百合が子どものようにその場でジャンプした。私はスティックを箱に戻し、慌てて百合をなだめる。

「まだ、確定じゃないよ！　だから、あんまり喜びすぎちゃ駄目」
「わかってる！　わかってるけど！」

そこにドアが開く音。成輔が見送りを終え、着替えて戻ってきたのだ。
私と百合の状況を見て、すでに何か察したらしい。私は言葉にする前に検査薬を見せた。

「……赤ちゃんができたかも」
「葵！」

成輔が駆け寄ってきて私を抱きすくめた。歓喜のあまり感情の抑えが利かなくなったといった様子だ。

「明日、病院に行くから。それまで喜びすぎちゃ駄目だよ」
「わかってる」
「もし妊娠してても、まだ初期なんだから何があるかわからないし」
「わかってる」

それでも嬉しいというのが抱擁で痛いほど伝わってくる。百合が大粒の涙を一生懸命ぬぐっていた。